演出家の仕事

栗山明也著「演出家の仕事 」(岩波新書 新赤版 1105)
を読み終わった。
なぜこの本を読んだのかというと、ある研修でコミュニケーションは、「積極的傾聴」つまり相手の話をよく聞くことが重要であると教えられたばかりであって、たまたま本屋で
「何を見て
何を聞くのか」
という帯を目にしたからである。
あと、演劇も好きであるため、演出家がどのようなことを考えて仕事をしているのかも知りたいと思ったからである。

本書で印象に残ったことは、俳優が演技をする上で重要なことは、まず相手の俳優から発せられるセリフをよく聞くこと。それを受けて感情が起こって、その感情がセリフや動きを発せさせるのである、ということだ。
「相手役のせりふをよく聞くこと、相手の声をよく聞いて、それで動いた自分自身の気持ちが次のせりふになる」
作者が稽古場で繰り返す言葉である。
舞台においてもそうなら、やはり我々日常においてもまず相手の話を聞くことから始まるのだという「積極的傾聴」が大切なのだということが改めて確認できた。

以下抜粋
「今の時代に、一番大事なことは、「聞くこと」のように思えてなりません。話すことよりも、まず人の声を聞くことです。大きな声は、いつの時代にも圧倒的な力で他を制してきました。」

「しかし今、大人も子どもも、人の言うことをまるで聞こうとしません。ですから、人間の関係が成り立ちにくい。国の大事なことを決定し話し合う場であるべき国会での答弁を聞いていても、一方的にまくしたてたり、何も聞かず質問に答えていなかったりと、一方通行なのです。誰もはじめから聞こうとしていないからこそ、政治家の声は大きくなり、その大きな声がリーダーの条件であるかのように世間も支持してしまいます。そして、ますます小さな声を聞こうとしなくなってしまうのです。」

そうなのだ、今の世の中が生きにくいのは、小さな声が抹殺され、大きな声ばかりを繰り返し聞かされるからなのだ。
みんな人の話を聞かないのだ。
自分の言いたいことを叫ぶばかりなのだ。
マスコミも、なんでもずけずけくだらないことを言うタレントやコメンテイターを重用し、こういう人間になぜか世間も言いたいことを言っているなどと憧れたりしている。

などと色々考えが巡らされてくる本書は良書だと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

歴史に学ばない者は、同じ過ちを繰り返す。

4834250504.09「そうだったのか!現代史」池上彰著を読みました。
主に第二次世界大戦後の世界の歴史について書かれているのだが、とても読みやすい文章で一気に読むことが出来ました。高校の歴史の授業でほとんど触れられなかった内容だったので、知らなかったことがたくさんあったが、今回この本を読んで、あまりに残酷で愚かなことが現実の世界で行われていたことにとてつもないショックを受けた。

ソ連のスターリンによる、自国民800~1500万人の粛正、「農業集団化」のもと富農とされた農民を900万人を農地からの追い出し、そのうちの半分を処刑にするなどの人民虐殺。
同様に、中国の毛沢東による愚かな「大躍進政策」、紅衛兵による300万人の投獄50万人の処刑を奨励した「文化大革命」。
カンボジアにおける、600万の国民のうち300万人を処刑したポルポトによる「原始共産制」、中学を卒業している、字が書ける・読める、めがねをかけているなどという知識人を処刑する「知識人敵視政策」。
これらの共産主義国家で現れた独裁者達の残忍さはなんなのだろうか?

共産主義は「虐げられた人民の解放」「人間による人間の搾取の根絶」を目指しているはずであるのだが、どうしてこのようなことがおこるのだろう。これと同じことが、宗教の名のもとにおいても繰り返されている。

これは結局、為政者が権力を掴むためにイデオロギーなり、宗教なりを利用しているだけであり、その根本的な思想は、もはや関係無くなっているということなのだろうと思う。

また、自国の利益だけしか考えない大国の身勝手な行動から、ベトナム戦争、パレスチナ問題、朝鮮戦争等多くの悲劇を巻き起こし、今現在にも禍根を残している。

そんな繰り返しで現代の歴史が作られているを知ると、大義が曖昧になっている今のアメリカのイラクへの戦争も本書の文脈上に起こっているのだと感じる。

「歴史に学ばない者は、同じ過ちを繰り返す」
そのとおりなのだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)